AIを活用してSNSや広告のクリエイティブ(バナー)などを作成する方法
AIの進化は、SNSや広告のクリエイティブ制作に革命をもたらしています。AIによる画像生成ツールの使用は、従来の作業や時間のかかるプロセスを大幅に効率化し、瞬時にクリエイティブを生成します。そして、そのクリエイティブに人の手を加えることで、ハイクオリティのバナーを短時間で作成することが可能になりました。
ここでは、AIツールを使って、SNSや広告のクリエイティブ(バナー)などを作成する方法について解説していきます。マーケティングの効率化とクリエイティブな発想を実現する方法を学び、このAI時代を生き抜けるように準備しましょう。
Team HENSHINでは、AIツールを活用したクリエイティブ制作に注力しています。ご依頼やご相談などは、お気軽にお問い合わせからご連絡ください。
生成AIツールを活用した広告やSNS運用
近年、AI技術は目覚ましい速度で進化し、広告やSNS運用の分野での活用が急速に広がっています。
この進化により、マーケティングの効率化、クリエイティブな発想、そして消費者との新しい接点が生まれています。
デジタルマーケティングにおけるAIの役割は、単なる自動化の道具を超え、ブランドメッセージの最適化やターゲットユーザーへのリーチ方法を変革しています。
生成AIツールの目まぐるしい進化
生成AIツールの進化は、主に画像、音楽、テキスト生成などの分野で顕著です。
生成AIは、従来の手作業や時間を要するプロセスを大幅に短縮し、高度なクリエイティブコンテンツを瞬時に生成できる能力を持っています。
これにより、マーケターや広告クリエイターは、新しいアイデアの試行や、複数のデザイン案の迅速な比較が可能になり、広告やSNSコンテンツの質と効率の両方を高めています。
広告やSNSにAIを活用するメリット
AIの活用は、広告やSNSコンテンツ作成において、多大なメリットをもたらしています。これにより、企業やクリエイターは、より効果的で魅力的なマーケティング戦略を展開することが可能になります。
ここでは、広告やSNSにAIを活用するメリットについて詳しく解説していきます。
イメージに近い素材を用意しやすい
AIにプロンプト(AIに指示する呪文)で具体的なイメージを伝えると、画像や動画などを生成します。頭にあるイメージを素材として生成してくれるため、これを活用してクリエイティブの制作が可能です。
また、具体的なイメージではなく、ぼんやりとしたイメージでも可能なのが大きな強みです。「そんな発想はなかった」と新しい発見につながることもあるでしょう。
効率的にクリエイティブを作成できる
AIツールを利用することで、デザイン作業の時間が大幅に削減されます。たとえば、バナーを制作する際、これまでは素材選定や写真の撮影が必要でした。
しかし、上述した通り、生成AIによって自分のイメージを画像にすることで、これらの手間を省くことも可能です。
テキスト生成AIの活用で、ブレインストーミングやアイデアを練ることも可能です。このように、クリエイティブ制作の過程において、様々な形で効率化できるのです。
効果検証にAIを活用することも
生成AIはクリエイティブ制作だけに留まりません。広告やSNSで得られた結果をAIに共有し、そのパフォーマンス分析も可能です。
分析結果をもとに次の施策を検討したり、今後の方針について見直すことにも役立つでしょう。
他にも、消費者行動の理解を深めることで、よりターゲットに合ったコンテンツ制作に繋がります。
クリエイティブ制作からその後の運用も含めて、AIを絡めることで効率化や最適化に貢献します。
広告やSNSにAIを活用するデメリット
AIを活用することは多くのメリットをもたらしますが、いくつかのデメリットも存在します。ここで解説するデメリットを理解した上で活用してみてください。
AIを活用するための環境構築が必要
AIツールを効果的に使用するためには、技術的な知識が必要です。また、パソコンなどのハードウェアや内部のソフトウェア環境を整えることも重要です。
たとえば、画像や動画の生成には、ハイスペックのグラフィックボードが必須です。グラフィックボードがないパソコンには取り付けが必要ですし、パソコンによっては買い直しが必要になります。
初期投資が必要となるのに加え、技術的にもある程度の知識がないと難しいでしょう。
品質担保が難しい
AIによって生成されたコンテンツは、必ずしも自分の思い通りになるとは限りません。特に、細かいディテールやブランドイメージに敏感な領域では、人間の編集者やデザイナーの介入が必要になることもあります。
複数のクリエイティブを生成する際にも、統一感を持たせるための工夫が必要になります。
品質担保については、AIの試行回数が大きく影響してきます。いかに多くの経験を重ねるかが重要になるため、誰でもすぐにできるようになるのは中々難しいと言えます。
今後の規制に対する心配
AI生成コンテンツに関する法規制は、今後厳しくなる可能性があります。著作権やプライバシーの問題、AIの倫理的な使用に関するガイドラインは、今後の運用に大きな影響を与える可能性があります。
とは言え、現段階の政府の動き的としては、生成AIの利用はイノベーションをもたらすものとして一定の評価を得ていると思われます。
個人情報漏えいなどのリスク軽減を図りつつ、生成AIの開発や利用を加速させたい考えだ。
(中略)
罰則に関しては慎重論が強く、7日に開かれた政府のAI戦略会議で、西村康稔経済産業相は「一律の規制ではなく、イノベーションの促進と規律のバランス確保が重要だ」と強調。有識者からも「事業者にとって使い勝手が良く、実効性も確保できる指針の在り方について検討を深めるべきだ」との意見が相次いだ。
引用元:生成AI指針、罰則盛らず 政府、開発・利用を促進:時事ドットコム
生成AIを活用したクリエイティブ事例
AI技術を活用したクリエイティブ事例は、広告業界に新たな視点をもたらしています。
ここからは具体的な事例をご紹介していきます。
生成したAI画像とテキストを組み合わせたバナー
「オタ恋」というマッチングアプリサービスは、独特なAI生成画像を使用したことでX(Twitter)で広く認知されています。
具体的には、世間の”オタク”のイメージを尖らせたもので、肥満型の男女やアニメ好きの男女、幼い容姿をした女性などの人物を活用したクリエイティブです。
また、リアルでは絶対にありえない場面を描いていることもあり、奇想天外なバナーが人気を博しています。
X(Twitter)ではフォロワーが2万人を超え大変人気ですが、Instagramでは100人程度です。これは、プラットフォームの相性が関係しています。
AIと商品を合成したバナー
AI画像と実際の商品を組み合わせてバナーを作成した事例をご紹介します。
こちらは、トランスフォーマーの自動変形ロボット玩具を提供している「robosen」のPRバナーです。Team HENSHINで制作したバナーになります。
ハロウィンシーズンの値引き告知として、ハロウィンのイメージであるジャック・オー・ランタンとその背景には教会のような建造物、月や煙などのエフェクトが存在し、中心に製品のオプティマス・プライムのロボット玩具が起立しています。
これは、オプティマス・プライムの画像は後から合成したもので、その他の描写は全てAIで生成したものです。そしてテキストを加えれば、高品質のバナーの完成です。
通常、このようなバナーを作成する際にはCGを活用することが多いですが、AIによって最後に合成でオプティマス・プライムを設置して、制作プロセスの簡略化が可能になりました。
次にご紹介する事例は「OpenRock」というスポーツイヤホンのSNSの事例です。こちらもTeam HENSHINで制作したバナーになります。
こちらは生成した人物の画像に、そこにイヤホンを後から合成した形のバナーです。先ほどの「robosen」の事例と比較すると、人が装着している形にする必要があるため、合成の難易度がかなり高いと言えます。
人の耳の形状に合わせて上手く合成し、色味(ライティング)を調整することで本当に装着しているかのように見せるのは非常に難しいものです。
しかし、AIの技術を活用することで、モデルの準備や撮影の工数を削減することができ、パソコン1つでハイクオリティのバナーも作成することが可能になりました。
おすすめの画像生成AIツール
現在、多くの画像生成AIツールが存在します。Stable DiffusionやMidjourneyといったAI画像生成ツールの定番のものから、chatGPTやBingなど対話型のAIツールでも画像生成ツールが可能になっています。
これらのツールを活用することで、広告やSNSコンテンツの制作において、高い効率性とクリエイティビティを発揮します。それぞれのツールには独自の特徴があり、用途に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
具体的なツールの選定方法やおすすめのツールについては、別の記事で詳しく解説します。
※ 記事準備中
【簡単】生成AIを使ってバナーを制作する方法
生成AIを活用してバナーを簡単に制作する方法を解説します。なお、ここで解説するのは画像自体はAIで生成し、それにテキストを加えるようなバナーになります。イメージ的には前述した「オタ恋」の事例のイメージです。
AIツールを使用して画像生成を行う
最初のステップは、AI画像生成ツールを使用して目的に合った画像を生成することです。
バナーのテーマや目的に沿ったキーワードや指示(プロンプト)をAIツールに入力します
例えば、「夏のビーチ」や「都市の夜景」などのテーマを設定すると、AIはそれに応じた画像を生成します。
この段階で重要なのは、生成する画像のスタイルや色調を具体的に指定することです。
プロンプトには、「このような画像にしてほしい」ということを伝える”ポジティブプロンプト”と、「このような画像にはしないでほしい」ということを伝える”ネガティブプロンプト”があります。
前述したテーマは基本的にポジティブプロンプトに入力します。
その他にも、高品質にしてほしい場合やポートレート風にしてほしい場合なども、ポジティブプロンプトで指定します。
下記はポジティブプロンプトの例です。
- 高品質 (High-Grade, Luxurious quality, Exquisite Quality)
- リアルな・写真のような (Photorealistic, Lifelike, Realistic)
- 美しい女性 (Stunning Lady, Gorgeous Woman, Radiant Beauty)
一方で、ネガティブプロンプトの例としては下記が挙げられます。
- 低品質やエラー(worst quality,low quality,error)
- 不適切な要素(nsfw,pubic hai,nipples)
- 身体パーツの欠損や作画崩壊(bad anatomy,long_neck,mutated hands)
このように、自分のイメージするクリエイティブを生成するためには、細かい調整を重ねて理想に近づけていきます。
必要に応じて生成した画像を加工する
次に、AIによって生成された画像を必要に応じて加工します。このステップでは、Photoshopなど画像編集ソフトを使用して、画像のサイズ調整、色の補正、特定の要素の追加や削除などを行います。
例えば、バナーに使用するにはサイズが大きすぎる場合には、適切なサイズにトリミングすることが重要です。アスペクト比などの調整も大切です。
基本的に生成AIツールで画像を生成する場合、512×512(正方形)の比率で生成されることが多いです。横長にする際は、これを拡張生成したり、そもそもほしいサイズで生成するなどの調整が必要です。
デザインツールを使用してテキストを加える
最後のステップは、デザインツールを使用してバナーにテキストを追加することです。
ここでは、バナーの目的に応じて、キャッチコピー、商品名、キャンペーン情報などを配置します。
テキストのフォント、サイズ、色などは、全体のデザインと調和させることが大切です。また、メッセージが明確かつ読みやすいように、テキストの配置にも注意を払います。
これらのステップを通じて、AIを活用したバナー制作は、クリエイティブなビジュアルと効果的なメッセージを組み合わせた魅力的なバナーを生み出します。
【生成AI×合成技術】ハイクオリティなバナーを制作する方法
ここからはAIで生成した画像と合成技術をかけ合わせて、ハイクオリティなバナーを制作する方法について解説します。
バナーのイメージを固める
まずはバナーのイメージを固めるところからです。背景画像をAIで生成して商品を合成するパターンか、人の画像をAIで生成して合成するパターンかによって、イメージする際のポイントが分かれます。
背景画像をAIで生成して商品を合成するパターン
何かしらのイベントなのか、四季なのか、どのような状況かなどを考えましょう。
アイデアが出ない場合は、それ自体をchatGPTなどの対話型AIを用いて検討するのも良いでしょう。
商品を合成しやすいよう、「どこに商品を入れるか?」という構図を意識することがポイントです。
人の画像をAIで生成して合成するパターン
このパターンで大切なのは、生成したい人間のイメージを具体化することです。人種やポージング、表情なども指定できるように、どのような人間にするかを文字で書き起こすようにしましょう。
下記を意識して考えてみると良いでしょう。
- 人物の特徴:人種、年齢、性別、髪型、衣装などの詳細。対象となるユーザー属性やブランドイメージに適した外見を選びます。
- ポーズと表情:商品の特徴やメッセージを強調するポーズや表情を選びます。例えば、アクティブな商品であれば動的なポーズ、ラグジュアリーな商品であれば洗練された表情が適しているかもしれません。
- 照明と色調:人物の照明や色調が商品や背景と調和するようにします。例えば、柔らかい照明はリラックスした雰囲気を、鮮やかな色はエネルギッシュな雰囲気を生み出します。
- 背景との調和:人物が自然に背景に溶け込むようにします。背景のスタイルや色と人物が衝突しないよう注意が必要です。
- 商品の配置:人物と商品の関係が明確で、視覚的にバランスが取れているように配置します。イヤホンなら耳、メガネなら目など、どの部位を目立たせるかを意識しましょう
ここでイメージを固めることで、後の合成作業が大変になるかが決まります。丁寧に行うようにしましょう。
適切なモデルで画像を生成する
ここからの工程は、背景画像をAIで生成して商品を合成するパターンでも、人の画像をAIで生成して合成するパターンでも同様です。
画像生成ツールには様々なものがありますが、ここでは無料で使える「Stable Diffusion」を例に解説します。
Stable Diffusionにはディープラーニングモデルを適用して、そのモデルが得意とする画像生成を行うことができます。たとえば、アジア人の生成に長けているモデル、風景の描写に長けているモデル、2次元アニメキャラの生成に長けているモデル、アメコミ風イラストの生成に長けているモデルなど様々です。
また、LoRA(Low-Rank Adaptation)という、既存の深層学習モデルを改善するための手法も存在します。LoRAを適用して、モデルの一部を微調整することで効率的にパフォーマンスを向上させます。
モデルやLoRAを使用して、前のステップで固めたバナーで使いやすい画像を生成しましょう。
商品は後から合成するので、画像生成の段階で仮の商品を入れておくか、あらかじめ空間を空けておくと良いでしょう。
つまり、たとえばイヤホンをバナーに組み込みたいなら、生成する画像の中にあらかじめ「中央に台座を設置」などをプロンプトに組み込めば大丈夫です(実際はもう少し複雑なプロンプトになります)。
そして、後で編集するときに差し替える形にします。
画像編集ソフトやCGソフトなどで場面に商品を合成する
ここからが一番肝心の作業になります。生成した画像に商品を合成します。
Photoshopなどの画像編集ソフトや、BlenderなどのCGソフトを活用しましょう。
先ほどのイヤホンを例にすると、正面から明るい光を当てたり、全体の色味の調整を行ったりしています。ライティングや色味の調整は合成において、合成物が浮いて見えないようにするために重要なポイントになるので丁寧に行いましょう。
人に合成するパターンだと、体の部位によっては商品が部分的に隠れることもあります。それを考慮した上で合成していきましょう。
画像生成の段階で、どのように編集・加工していくかをイメージしながら生成すると、ここでかかる手間が短縮できるでしょう。
あとは編集ソフトをどれほど使いこなせるかでバナーのクオリティは変わってきます。
商品を合成できたら、必要に応じてテキストを入れるなどして完成です。
AIツールを使用する際の注意点
AIツールを利用する際には様々な注意点があります。これらを理解しておかないと、後々トラブルに発展する場合もあるので、必ず確認しておきましょう。
生成した画像に”破綻”があるかの確認
AIによって生成された画像は、指が足りない/多いなどリアリティが欠けることがあります。このため、画像に不自然な箇所や破綻がないか、特に手足や顔の表情など細部にわたってチェックすることが重要です。
もし破綻があれば、出なくなるまで生成をし続けることをおすすめします。そのためには、プロンプトで細かく調整したり、LoRAを活用すると良いでしょう。
著作権侵害に注意
AIが生成した画像が既存の著作物を模倣していないか確認する必要があります。
特に、公に知られている作品や有名なブランドのロゴなどを無意識に模倣している場合、著作権侵害のリスクが生じます。
モデルを使用する際にも、何を学習元にしているのかを確認して、商用利用しても問題ないモデルかを確認しておくと安心でしょう。
利用規約の確認
使用するAIツールやプラットフォームには、それぞれ独自の利用規約があります。これらの規約を事前に確認し、画像の使用が許可されている範囲内で利用することが重要です。
規約違反による法的な問題を避けるためにも、規約の確認は欠かせません。
今後のWebマーケティングを左右する生成AI
生成AIはWebマーケティングの未来において、中心的な役割を担う可能性のある技術です。AIによる画像生成やクリエイティブ制作は、効率性を高め、広告の質を向上させることができます。しかし、著作権の問題や品質の破綻、利用規約への遵守などの課題に対処する必要があります。
AI技術の進化は、マーケティング業界に新たな機会と挑戦をもたらしています。今こそ、AIについての理解を深め、マーケティングに活用してみてください。
Team HENSHINではAIを活用したWebマーケティング支援を行っています。3DCGに特化したメンバーが在籍しているため、ここで解説した特殊な合成技術とAIをかけ合わせてクリエイティブの制作が可能です。
Webマーケティングの支援はもちろん、やり方のご指導等も可能です。ご依頼等ありましたら、ぜひお問い合わせからお気軽にご連絡いただけますと幸いです。